イラスト日記

2002年 10月


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骨折り損のくたびれ儲け(ただし儲かってない)

29th Oct.2002  


「どうしてもっと早く、病院こないの?」
右手の痛みも腫れもなかなか引かないので、今日は病院行き。まりのえのグローブの様な手を診るなり、外科の先生は怒った。
レントゲンで見ると、見事にポッキリ折れてるじゃないですか。右手第4中手骨骨折。全治1ヶ月。チーン。
さて、これは困ったことになった。
1ヶ月間仕事しないと、おまんまの食い上げだし。それよりもまず、現在引き受けている仕事をどうやってこなせばいいのか?
自分で言うのもなんだが、ピンチヒッターを頼もうにも、まりのえくらい描けるイラストレーターは、他に回りにいないのだ。グレードが下がることを承知で、やれそうな人に振り分けてやってもらうしかないが、まったくトホホである。
ちなみに、リアルタイムでレントゲン画像が見れるのにはびっくり。
右手をカメラにかざして、「はい。手を回して。指を握って開いて」と、先生の指示に従って動かすと、モニターにはまりのえの右手の骨が動いている姿が映ってるじゃないか。
『おお! これが自分の骨格か!』と、ちょいと感動してしまった。
ギプスも昔のように石膏じゃない。包帯のようなものをグルグル巻いて、それが固まるのだ。
う〜ん。最近の医療技術の進歩はすごかった。


満身創痍

25th Oct.2002  


今日はBeauty-Qで撮影会をやったが、なんだか満身創痍という感じの、ブルーな一日になった。
待ち合わせの予定から遅れること2時間。ようやく撮影に出発したのはいいけれど、いきなりカメラケース落下事故。幸い本体にもマイクロドライブにも支障はなかったものの、下手したらクラッシュということにもなりかねないところで、冷や汗たらたら。そんなわけで野外ロケは思ったような写真が撮れずに、日没時間切れ。スタジオ撮影で挽回するしかなくなった。
ところが撮影序盤バッククロスの準備をしている時に、今度は右手を思いっきり梁にぶつけてしまった。なにしろぶつけた時に「バキッ」っと音がしたくらいだから、「これはもしかして骨折?」と思うくらいの衝撃。そのあまりの痛さにしばらくは、うずくまって動けなかった。
まりのえはイラストレーターという職業上、常に右手を可愛がっている。ボーリングもさせないし、重い荷物は絶対に持たせない。そんな重労働をさせた後は、指が思うように動かず、ペンの線はヘロヘロ筆運びはヨロヨロになってしまうからだ。以前腱鞘炎に罹ってからは、更に過保護なくらいいたわるようになった。それがなんたる不始末。「もっと注意して作業すればよかった」と、後悔先にたたず。手の痛み以上にメンタルダメージは大きかった。
とどめは再びのカメラ転落事故。捻挫で右手の握力が全然ないため、落っことしてしまったのだ。今度もとりあえず動作確認で異常はなかったが、度重なる失敗に、かなりブルー入ってしまった。
そんなわけでやっと撮影があがったのは午前4時。もうヒットポイント使い切りましたって感じで、速攻寝ました。


美しき諍い女

24th Oct.2002  


エマニュエル・ベアール様主演の、あの「美しき諍い女」が、来月DVDで再リリースされる。
「美しき諍い女」は、作品の内容よりも「ヘア解禁か?」ということで騒がれた映画だ。ほぼ4時間の長尺の大半を、裸のデッサンシーンで埋められていたわけだから、世間の興味をひくのも当然ではある。もちろんまりのえも、憧れのベアール様のヘアヌードが拝める(笑)と思って、ワクワクしながら映画を観たものだ。まりのえは前回発売されたDVDを持ってるし、WOWOWで放映された時のこの映画も観た。だが、どちらもヘアシーンはボカシが入れられている上に、テレビ用の4:3サイズにトリミングしまくりで、満足できる編集内容じゃなかった。それが今回のリリースは、シネスコサイズのヘア無修正版ということなので、いやがうえにでも期待が高まる。
まりのえは「天使とデート」を観た後で、この「美しき諍い女」を観た。逆光をたっぷり浴びて屈託なく微笑む天使役と、切り詰めた露出で素肌の微妙な肌理をすべて描き出して、肉体を感じさせるモデル役とのギャップに、ベアール様の光と影のすごさを感じたものだった。
「美しき諍い女」では、画家のデッサンの様子が長回しで映されるが、同じ絵を描くものとして、このシーンは興味深い。細部のデッサンや細かいポージングのバリエーションをつけたエスキースを経て、製作段階を細かく追いながら、結局は完成した絵画を見せないことに、この作品の神髄があるのだ。それは例えば、りんごという物の存在を理解させるのに、目隠しをして匂いを嗅がせ、表面に触れさせ、舐めさせるような切り口だ。
そしてここまで打ち込めるモデルを見い出した画家も、画家に打ち込まれたモデルも、どちらも幸福と同じくらい不幸なのだということが、この映画における陰翳の深さで揶揄されている。
それにしても、まりのえもこのくらい情熱をもって絵を描いてみたい。そういう意味で、つくづく憧れる映画だ。
ちなみに、ヌードデッサンしている時、モデルに欲情するのは本物の画家じゃない。真剣に対象を観察し、キャンパスに描きとめている間は、スケベ心なんて起こしてる余裕はない。写真でもそうだが、アーティストはモデルのエロスを写すことには情熱を傾けるが、それは自分の中にある女性美の投影作業という感じで、性欲とは別物なのだ。変にスケベ心をもったまま作業すると、出来上がったものは下品になるのである。


フランス語わかりませ〜ん

21th Oct.2002  


友人が.フランスで個展をしたが、友情出展ってことでまりのえもイラストを出していた。
ところがその個展でイラストを見た方(と思われる)からメールを頂いたのはいいんだけど、フランス語なんてさっぱりわかんないまりのえは大弱り。インターネットで翻訳ソフトをいろいろやってはみたんだが、ほとんどが英和翻訳で、仏和のいい翻訳ソフトがない。仕方なしにいったん英訳して、それを和訳したんだが、それがまったく日本語になってないのだ。なにがなんでも和訳してしまうので、意味がチンプンカンプンなのだ。とりあえず「綺麗」とか「興味を感じさせる」なんて単語があるので、お誉めのメールとは思うんだけど。
いちばん笑ったのは「私を助けることができる接触を持っていただけませんか?」だった。
なんじゃこりゃ〜? スパイ映画かい? こんな日本語書く奴なんていないぞ〜。


百物語文化倶楽部

19th Oct.2002  


恒例の年中行事「百物語文化倶楽部コミックイラスト展」が今年もやって来た。
これは友人の主催しているイラスト展で、まりのえは参加始めてからもう8年目。イラスト展自体もすでに16回を数える、こじんまりとはしているが、息の長い展覧会だ。
この展覧会では毎回アンケートをとっていて、「気に入った絵」なんてランキングまでやってるものだから、一応プロのまりのえは、プライドにかけてイラストを描かなきゃならない。だけど、どんなに技術があっても嫌いな絵は嫌いだし、テクニックは拙くても、好感の持てる絵もある。やっぱり作者の愛がこもっている絵は、善かれ悪かれ強烈なオーラを発してるよね。


黒川温泉人気No.1

11th Oct.2002  


連休中にもかかわらず、ロケハンで九重〜黒川温泉〜阿蘇方面へ行った。
黒川温泉や湯布院は、全国でも有名なリゾートらしく、「行ってみたい温泉」ランキングで、ワンツーフィニッシュを決めているくらいだ。
まりのえ的には、このふたつはもうおしまいって感じ。湯布院はとっくの昔に鄙びた風情を失ってるし、黒川温泉では混浴で酔っ払いの女性団体客に出くわして、えらいな目にあった覚えもある(まあ、それはそれで眼福だったけどね)。
まりのえはどちらかというと、潰れそうでなんとか持ちこたえてるって感じの、寂びれた観光地が好きかなあ。


マリーお嬢様

9th Oct.2002  


94〜95年くらいだったかな? NHK教育の「英語であそぼ!」という番組で、クロイ・マリー・マクナマラって女性がお姉さんをやっていた。
まりのえは幼児向けだったにもかかわらず、「マリーお嬢様」にはうんとこさはまったものだ。天性のフェロモン系の美貌にツインテール。コミカルにダイナミックに変化するその表情。たどたどしいニホンゴと美しい歌声。童話の登場人物からジュリアナのイケイケギャルまでこなす、その芸幅の広さ。そしてなによりもダイナミックなボディに不似合いな白雪姫もどきのピンクのリボンつきドレスに、なんとアンダーにはドロワーズというロリ具合は、もう萌え萌えだったっす。
95年には「マリーちゃんとあそぼ!」という、幼児向けのショーがあったが、まりのえは恥ずかしげもなくショーを見に行ったものだ。マリーお嬢様と腕組みツーショットの記念写真も撮らせて頂いた。腕に当たる彼女のボリュームのある胸の心地よさに、もうまりのえはクラクラ(笑)。
「英語であそぼ!」のあとはどんな仕事をするのですか?って質問すると、フェロモンたっぷりに、「ウ〜ン。オ仕事シタイケド、ワッカラナイノヨォ〜」って答えてくれたのが、今でも耳に残っている。
最近なにげに「マリー」をネット検索していたら、思いもかけずファンサイトにヒット。マリーお嬢様に改めてハマってしまった。当時撮ったビデオを現在見返し中。しつこく見てるので、まりのえの英語力も少しはアップするかもしれない(笑)。


もう一度高校生

7th Oct.2002  


こないだ「高校の頃の日記を読んだ」と書いたが、今日までは、当時の自分が見落としていた事実を、日記を元にいろいろ再検証していた。
高校生の頃はいかに多角的に物事を考えていたつもりでも、やっぱりかなりの見落としがある。友人や恋人の言った台詞の裏側にまで考えが届かなくて、見逃していた事実もある。未熟な18歳の自分では解き明かせなかった謎も、今なら解ける事もあるものだ。
そのおかげで今、気分はすっかり高校生。数十年前にトリップしてしまった。2002年の現在に帰ってくるのがしんどい。


和食

5th Oct.2002  


今月から思いきって食生活を改善。これまで洋食中心だった食事を、できるだけ和食中心にするよう、心掛けることにした。
まりのえは高校時代から較べると、軽くパソコン1台分くらいは太ってしまった。そうすると当然動きは鈍くなる。山登りはきつくなる。なによりもお気に入りだったズボンが入らなくなって、買い替えなきゃいけないのが、精神的経済的共に痛い。
そんな自分の肥満の原因をいろいろ考えていたら、「動いている以上にカロリーを摂っている」という、当たり前の結論に達したのだ。
まりのえは揚げ物や肉類が大好きなのだが、それがそもそも太る原因。反対に煮物や野菜類は進んで食べなかったが、そこんとこだけでも改善すれば、ちっとは健康&ダイエットの足しにもなろうかと思って、食事改善を始めたわけだ。
だが、まりりんは納豆だけは大の苦手。「からだにいい」って言われる食品だけに、食べたいのはやまやまだが、あの匂いがまずダメ。
誰か納豆嫌いでも食べられる納豆、教えてくれ〜。


長崎おくんち

3rd Oct.2002  


撮影で長崎に行った夜。思案橋は平日だというのに何故か賑やか。
地元っちのモデルさんの話しでは、今年は思案橋近くの鍛冶町が、来週から始まる長崎おくんちの「踊町」になっていて、その前の「庭見世」という行事があっているかららしい。なんでも踊町は持ち回りのため、7年に一度くらいしか回って来ず、しかも庭見世は今晩だけの催しだというので、たまたまそれに巡り合えたまりのえは、とってもラッキー。思わずカメコに走った。
まりのえは今、長崎丸山遊廓を舞台にした、郭もの漫画を予定している。まだまだ構成と資料集めの段階だが、この「おくんち」は長崎市民の精神的拠り所ってことで、ぜひとも作品に盛り込みたいものだ。
それにしてもいろいろ案内してくれた、地元っちモデルのみお福ちゃんと皇様イカ様には、毎度ながら感謝感謝!


高校生日記

1st Oct.2002  


部屋の片付けをしていた深夜、思いがけず見つけ出した、高校の頃の日記を読み返した。
日記は未来の自分への贈り物かもしれない。そこにはタイムカプセルのように、思い出の宝石が詰まっているのだ。
まりのえは高校1年のときから、ずっと日記をつけている。最近はさぼりがちだが、当時はほとんど毎日のようにしたためていた。まりのえの思想もポリシーも、この頃に確立されたものも多く、日記はまりのえの人格形成にとっても役にたったものだった。
試験の事、進路の事、友達の事、その時代折々の事件や流行についての感想。そしてなによりも、恋をした事が、いちばん多く記されていた。
初恋の人の名前が、毎日のように刻まれているのを読んでいると、まりのえは本当に恋をしていたんだな〜と実感してしまう。
実らない初恋と、クラスの中の気になるあの娘。下級生との恋。そんな心の葛藤の中に揺れていた高校生時代。そして初めてのキスと大人へのステップ。
当時とまったく変わっていない自分と、変わってしまった自分。そのコントラストが懐かしい。
それは甘い感傷に過ぎないかもしれないけど、まりのえは幸せだ。人生で最も輝いていた時代に、こうして日記をつけていた高校生の自分に感謝。