イラスト日記

2000年 3月

DIARY INDEX


啓 蟄

6th Mar.2000

3月に入って啓蟄も過ぎたというのに、ぼくはといえばあらゆる方面で活動が鈍っていて、穴に籠ってるという感じ。
去年の一連のコンペが全敗したのが響き、仕事量も例年に較べて少ないのがちょっと悲しいかも。
こういう時こそ課題だった3Dの練習やオリジナルのイラストを描けばいいんだろうけど、やらなけりゃならないことが多すぎて
どれも手付かずという感じ。(そのくせ「ときメモ」なんぞを今さら引っ張り出してやってる自分が悲しい(x_x;))
今、温めている写真&イラストのイメージがあるんだが、そのための服を探しているところ。
PINK HOUSEのようなフリルとタックのだーっとついた真綿色のロングワンピースだ。ネグリジェならそれに近いものがあるが
田園詩もなくなったし、PHは高いし、なかなかこれというのがない。
最近は著作権も意識しているのでできるだけオリジナルでいこうと思っているが、それだと服代やロケに出費がかさむのが痛い。
モデルさんも遠方の人が多いので気軽に頼めないし、あれこれと手詰まりな気分。
今の閉塞的状況をなんとか打破したいところだ。


きのこチャーハン

9th Mar.2000

おととい作っておいた「きのこチャーハン」を食べる機会がなく、3日たった今日食べた。
「冬だからいいだろう」と冷蔵庫にもしまわず、つい出しっ放しにしておいたんだが、なんだかまずい(T_T)
そう思いつつ捨てるのは勿体無いし、きのこは大好きだから、「まさか愛するきのこに裏切られるはずない」と
根拠のない思い込みで全部食べたが、その2時間後激しい吐き気が…
結局3回も戻してしまい、今日の仕事はふいに。まだ胃が弱ってる感じできつい。ううううううう〜〜〜〜〜。
20歳の頃、コーヒーのブレンドに凝っていて、一日に何十杯も飲んで胃を悪くして以来の消化器系のトラブルだ。
ぼくの胃腸はかなり丈夫で、多少の拾い食いでも(しないけどさ)ビクともしないと過信していたが
やっぱり胃も壊れるもんだ。
きのこを食べるのが怖い今日この頃である。


超弩級戦艦

12th Mar.2000

戦艦大和の建造がようやく進みだした。
予算申請から10年。一昨年の暮れにやっとまりのえ防衛庁の認可が下りて、建造にかかったものだ。
全長132cm。排水量6500g。総工費47000円。空前絶後の巨大模型戦艦だ。
進水式では船体がバスタブに入らず、洗い場に水を張って浮かべた。秋までには竣工してまりのえ防衛庁に引き渡したい。
戦艦は国体のシンボル。その巨砲にまりのえの威信がかかっている。
がんばれ超弩級戦艦大和!


紫川点景

14th Mar.2000

久し振りにKibiちゃんと小倉で待ち合わせて、紫川を散策しつつ写真を撮った。
ひねもす陽気で穏やかで、川辺リにはお弁当を外で食べようというOLや、ひなたぼっこのアベックがちらほら。
写真を撮っていても、散歩の犬になつかれて写真をせがまれたり(犬が… でなく、飼い主がである)、
新聞記者の春のポカポカ写真のモデルを頼まれたりと、ちょっとしたハプニングの多い日だった。
アトリエではクリップオンストロボを使っての多灯シンクロの実験。
今までは写真ランプを使っていて苦労が多かったが、「ストロボもいいかも」と収穫あり。


新下関ロケハン

15th Mar.2000

「降れば土砂降り」という諺があるが、今まさにそれ状態。
先日まで徒食をかこっていたのが嘘のように、バタバタと仕事の依頼が舞い込んだ。
今日は新築マンションのイラストを描くための資料を新下関に撮りに行く。
デザイナーさんが「こんなイラストがいいな〜」と差し出した見本は、「げげっ!」と唸るようなリアルな水彩画だった。
「こりゃ実際に見て描いたな」と一目でわかるような、光の陰影が見事なイラスト。
イラストにもいろいろ種類があって、想像で描けるものと見ないと描けないものがある。
だいたい「新築マンション」なんだから、建物が実際にあるわけがない。それをどうやってリアルに描けっちゅうのん?
しかも「俯瞰イラストも同じタッチで描いて」と言われた日には、「資料として航空写真でも撮って下さい」と
言いたくなるよな煩雑さである。
…ま、愚痴っても仕方ないし、それがぼくの仕事なんだから、取りあえず現地でデジカメした。
こういう細密画のようなものは腰を上げるまではうざったいばかりだが、一旦描き始めるとハマるもんだ。
実はぼくは水彩の細密画が好きだ。
だがそれは時間があればの話で、切羽詰まった時の細密画ほどパニックるものはない。
フィニッシュする時が楽しみでもあり怖くもある。


綺麗なお姉様写真

17th Mar.2000

2日ほど半徹ちゃんで俯瞰図とパース他一式を描き終えた。
徹夜で仕事をした後は、真っ昼間にバスタブにバスバブルを入れてゆっくりお湯に浸かるのが一番の幸せ。
そうして気分晴々で「綺麗なお姉様写真」のアップ準備にかかった。
もうこのサイトは中断して二ヶ月近くになる。うちの目玉サイトのひとつだけに早くアップしたかったものだ。
まだ仕事は残っているけれど、とりあえず今は逃避。


お買い物日記

19th Mar.2000

先日お気に入りのアイドルサイトからLINKでロリータ系のショップに飛んだところ、もろ自分のツボのドレスを発見!
気がついたら右指が発注をクリックしていた。恐るべし! Metamorphse
午後、北九州に出てきたマンガの友人を迎えに小倉駅へ。そのままラフォーレのブティックへ直行。ロリータ系を中心に見て回った。
エミリーは噂に違わずプリティーなワンピが多かったが、最近たて続けに服を買っているので断念。
でもMILKがこれまた超プリティーで、ついに誘惑に負けてしまいピンクのボレロとフレアスカートをセットで購入。
ブラウスは手持ちのですまそうと思ったけど、ソックスはバラのレース柄を合わせて買った。
(…ここまで書いて、内容がアイドル系の女の子達のお買い物日記と同じなことに気づき、呆然とする)
その後はJさんとPhotoshop研修会。
自分では気がつかないアプリの新しい使い方なんかを発見できて、なかなか有意義な一日だった。


週末の夜は…

20th Mar.2000

19日はひねもす来客があり、自由時間ができたのは20日になって。
実は今、明日アップの仕事を抱えているわけだ。
だけど尻に火がつかないと仕事しない性格がたたり、締切り3日前は「はるか未来の出来事じゃん!」って気分で遊び、
2日前でも「まだ明日があるさね」とうつつをぬかし、前日になって「そろそろやらねば」と重い腰を上げ、
机についたはいいけれど手遊びや関係ない読書なんぞしてしまい、
(実際今日も「海の生物をキャラクターにする」ってんで自然大博物館の本を見ていたら、
ついつい魚類と貝類の項目を読破しちまったわけである。それで博識になったかというと、そうでもない。)
仕事にかかるのは「もう今すぐ始めなければ間にあわない!」というぎりぎりの状態。
年頭にそれで失敗して、あれほど悔い改めたように見えたにもかかわらず、やっぱり「三つ子の魂百まで」なのか?

だけどここでばくは言い訳と文句を言いたい!
だいたい仕事の依頼は金曜日に来ることが多すぎる!
金曜日に発注して、自分らは月曜日から作業にかかろうというつもりかもしれないが、じゃあぼくの週末はどうなる?
世間様が休みの時くらいぼくも休みたいのだ! でも世間様が働いている時に休めるのは嬉しい。
…ただずぼらなだけ?


修羅場

22th Mar.2000

案の定、連休に遊んだツケが回ってきた。
2時間ずつ細切れに寝て、後は昼一アップ目指してひたすらイラストレーターと格闘。
そこへいきなり明日アップの急な仕事が割り込んできて収拾がつかない状態に。
実から出た錆とは言え、やっぱ修羅場は辛い。


メタモルフォーゼ

24th Mar.2000

ほんとは昨日に予定していた撮影会だったが、仕事の都合と天気で流れ、今日やった。
今、ぼくが撮っているモデルさんはコスプレ出身の人が多いが、ぼくがほんとに撮りたいのはコスプレ写真ではない。
自分の中に浮かんだイメージをどれだけ具体的に写真にできるかが、今の自分の写真に対する課題なのだ。
そのためには今までの自分の撮影姿勢を破壊して、再生し直さなければならないこともあるだろう。
口幅ったい言い方をすれば、藝術の創造は秩序の破壊と並べ替え、そして主観のみで形成される宇宙の再構成の狭間の葛藤なのだ。
(…と言える程偉そーなものは作ってない)
だが写真を撮る(野外で)ということは、帆船で航海することに似ている。
行く先は天気任せの風任せ。その日のコンディションに合わせて、イメージもどんどん修正せざるを得ない場合もある。
与えられた自然の条件の中で、一番効果的な表現をすることが肝要なのだ。(結果オーライとも言う)

11時にKibiちゃんと小倉で待ち合わせ街で服や靴を見ながらひととおり撮影した後、メタモルフォーゼのドレスにお色直し。
今日の自分的テーマは「メタモルフォーゼ〜破壊と再生」。
具体的には、捨てられたビスクドール。錆び付いた重機。崩れかけた煉瓦塀。 …そして、廃虚に舞い降りた天使。
Kibiちゃんはぼくのそういうイメージにぴったりのモデルだ。
天気的には、雲は今にも降り出しそうな黒雲が何層にも重なって流れていき、チンダール現象も現れるってのが最高なのだが、
そんな虫のいい話はそうあるわけがなく、あいにくのピーカン。
今日は低気圧の影響で風がとにかくすごく、髪はぐちゃぐちゃだしレフ板は飛んでいくしで、野外は全然撮影にならなかった。
それでも風の合間を縫ってなんとかイメージに近い写真を撮ることができた。(いずれお姉様フォトにアップする予定)

ぼくもいずれは撮りためた写真の展覧会をしたいので、写真はもっと真剣に取り組もうと思っている。


佐賀ロケハン

27th Mar.2000

今週半ばアップ予定だった仕事がキャンセルになって、比較的暇な週になるかなと思っていたのもつかの間、
昼に依頼の電話があり、「佐賀駅近くに建つマンションの環境イラストを描いてほしい」との事。
しかも担当さんのマイブームなのか、例のリアル水彩画タッチでという注文。
さらに締切りは「今週木曜日アップ」だと言う。「そりゃあまりなスケジュールでしょうが」と文句を言ったら
「じゃあ金曜日の昼ね」と一晩延ばしてくれた(実際一晩は貴重なのだ)
「でもあのタッチなら想像じゃ描けませんよ。資料を用意しないと(航空写真をくれ〜。ついでに締切りも延ばして〜)」
「じゃあ、佐賀の営業に写真撮らせるから」
「まあ、自分で見る方がいいですがね。今日は無理でしょうけど(営業が撮った写真なんか使い物にならん!)」
「あ! じゃあそうしてくれる? ラフは水曜日に頂戴」
『しまった。墓穴を掘った』…と思いつつも、やっぱり納得のいかない仕事はしたくないんで
「じゃあロケ代上乗せして下さいよ」と念を押しつつ、バタバタと高速で2時間あまりかけて佐賀へ。
案の定、マンション建設予定地の付近には高層ビルはなく、あちこちのビルに不法侵入しながら、付近一帯を撮影。
せっかく遠出したんだからと、福岡での用事を済ませることにし、友人にアポをとり、
佐賀錦も小城羊羹も買う暇もなく、トンボ返りでバタバタと福岡へ。
ここら辺、転んでもただでは起きない性格である。


インフルエンザ

28th Mar.2000

福岡の友人宅につい長居をしてしまい、帰りついたのは明け方。
昼頃起き出したのはいいが体調がすぐれない。なんだかムカムカする。
昨日は腐れかけのきのこチャーハンは食べてないはずだが、いったいどうして …と考えている間に激しい嘔吐が。
どうやらインフルエンザに罹ったらしい。
今年のウィルスは嘔吐下痢症が主流だそうだ。それにしてもなにかとムカつく機会の多い3月である。
そんなわけで今日一日静養に励んだ。ほんとは明日の仕事をした方がいいんだけど、むかっ腹を抱えていては仕事にならない。
それに熱も38.7度まで上がり、意識さえ朦朧としてきて動くことも大儀。
こういう時かなあ、「ご飯作ってくれる人がいたらいいな」と思うのは。
病気の時はなにかと気弱で、「人間やっぱりまっとうに生きなきゃいけないのかな」などと神妙になってしまう。


終わりなき修羅場

31th Mar.2000

インフルエンザのおかげで、仕事のペースが大幅にダウン。「ときメモ」の病気モードに突入した気分だ。
なのにこういう時に限って仕事がぞくぞくと舞い込んでくる。
七転八倒してなんとか片付けていき、最後に佐賀の水彩イラストが残ったが、これは実労一昼夜を要する大作。
火曜日一日休養して、完全じゃないがそこそこ程度に集中力が戻ってきたのが救いだ。
しかし体調の悪い時に描いた絵というのは、やっぱりなにかしらキレが悪く、色も澱んでいる感じがする。
心理テストで絵を描かせるというのは一般的で、その位絵は描いた人の心理を表すものだが、
プロでも体調によって微妙に絵柄や配色が変わるものなんだと、今さらながら気がついた。
結局病み上がりでいきなり徹夜して、納品したあとも「色が悪い」と指摘され修正。夕方まで解放されなかった。
ぼくは山登りとイラスト描きは似ていると常々思っている。
山登りは自分で一歩一歩歩かないことには頂上に辿りつけないし、イラスト描きもとにかく手を動かさなきゃ紙が埋まらない。
どちらも達成感には極上のものがあって、「この仕事でよかった」と思えるのだが、今回のような状況では
「サラリーマンが羨ましい」と感じてしまうのである。
ボーナスだっていっぺんくらいもらってみたいし…


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